【名著】愛するということ(著:エーリッヒ・フロム)【要約・書評】

恋愛

【愛に関する名著】

私は【愛するということ】を読んで、人への愛し方を学びました。それは、恋だけではなく、家族や友人・同僚など、ほとんどの人たちに対しても同じ。これまでの愛の考え方は間違っていたのだと気づきました。

結論は、愛されることよりも愛すること

SNSで、告白させる方法、沼らせる方法など、受動的な恋愛手法をよく見るます。私もそうでした。いろんな恋愛本を読んで、相手に恋をさせる方法ばかり学んでいました。そう…自分を変えようという考えが無く、相手を変えるような努力をしていたました。いろんな相手のパターンを知って、その攻略をして、好きにさせることばかり考え、モテようとする技術ばかり磨いていました。確かに、モテる努力をしなければ、恋は実らないことも多いですが。

しかし!本書を読めば、自分の根本を正さないといけないことに気づきます。

愛される努力ではなく、愛する努力。

これをまず覚えてていただければ幸いです。

●エーリッフ・フロム(1900 – 1980)

ドイツ生まれの社会心理学、精神分析、哲学の研究者。フロイトの精神分析とマルクス主義とを結びつけて社会的性格論を展開した。

精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。真に人間的な生活を可能にする社会的条件とは何かを終生にわたって追求したヒューマニストとしても知られる。著書に『自由からの逃走』『破壊』『悪について』『ワイマールからヒトラーへ』『反抗と自由』ほか多数。

※amazon 紹介より
名著30 フロム「愛するということ」
「100分 de 名著」の番組公式サイトです。誰もが一度は読みたいと思いながらも、なかなか手に取ることができない古今東西の「名著」を、25分×4回、つまり100分で読み解く新番組です。


書籍情報

著書名: 愛するということ

著者:エーリッヒ・フロム

出版社: 紀伊國屋書店

出版日:2020/8/28

目次

第1章 愛は技術か
第2章 愛の理論(愛、それは人間の実存の問題にたいする答え;親子の愛;愛の対象)
第3章 愛と現代西洋社会におけるその崩壊
第4章 愛の習練

要約・書評

なぜ、愛する技術が必要なのか?

POINT

他人に期待せず、見返りを求めない。

こんな経験は無いでしょうか?

「なぜ相手は私のことを好きになってくれないの?」「私はこれだけ尽くしているのになんで尽くしてくれないの?」「(家庭生活にて)私は、なんでこんなに家事をしているのに、相手は協力してくれないの?」

こんなことがあると、とても悲しいですよね。そういう感情になってしまうのは、『見返り』を求める愛し方をしているから。相手が自分の思い通りになってほしいと努力しているのです。きっとほとんどの人が、そのような考えをもっています。

反対に…赤ちゃんの例です。親は、赤ちゃんに対して、「赤ちゃんにこうしたのだから、あなたも答えなさい」などというように強制はできますか?きっとできないでしょうし、誰も望まないはずです。これは、いわゆる、無償の愛と呼ばれるものです。

人は相手に見返りを求めてしまうものです。しかし、相手が必ず答えてくれるかどうかは分かりません。それに対して、『見返りがあったら嬉しい』とか『見返りが無いと寂しい(怒り』を抱いてしまいます。今自分が、相手に対して『与えるだけで嬉しい』と思えば、どれほど楽か考えていただきたい。

好きな人ができたときに、相手に好かれようと相手好みの髪型・服装・態度を示します。それは、本来の自分なのでしょうか?個性を押し殺して、相手に好かれようとする好意ですが、そのうちボロが出る可能性があります(一緒にいる時間が長ければ、長いほど)。付き合う前の興味関心は相手へ向けられます。しかし、付き合い始めて長くなると、興味関心は自分に向きます。LINEが遅いだけで不機嫌になったり、自分が行きたいところへ連れて行ってくれないから不機嫌になります。付き合う前は与える努力をしてきたのに、いざ付き合ったあとは、与えられることを望むのです。いわゆる、所有欲(束縛)が起こりうるのです。

そうならないために、自分が相手にしたことに対して幸せを感じることが大切です。それであれば、自分を見失う必要がありません。もし、好きになって自分なりの行動を起こして、振られたりしても、自分を出せないで終わるよりずっと幸せだと思います。

そうなると、家事に関して、パートナーのことを考えずに、料理を作ってパートナーが食べてくれるだけで嬉しい(自分の料理のレパートリーが増えた)などと思うようになるのです。その考え方を持てば、相手がどう反応しようが、気にしなくなります。むしろ、期待していない分、相手が喜んでくれたりしたら、それは嬉しいとなります。

一つ一つ、その瞬間に集中することが大切です。自分の個性を失わずに自分なりに。

改めてですが、恋で悩んでいる人は相手にどう思われるかを考えすぎです。一度、鏡を見て、自分と見つめ合いましょう。『自分が恋しているだけで幸せ』。そう思ってみましょう。

愛は与えるもの

POINT

自分の生命を与える

では、どうやって、愛する技術を磨いていくのでしょうか?ここからは、本書の重要な【愛する技術】について説明していきます。

まず、与えることが何かを諦めること・犠牲にすることという勘違いを持っている方も多いです。与えることは苦痛だと思い込んでいます。

与えることについて、フロムはこう述べています。

与えることは、自分のもてる力のもっとも高度な表現なのである。与えるというまさにその行為を通じて、私は自分の力、富、権力を実感する。この生命力と権力の高まりに、私は喜 びをおぼえる。私は、自分が生命力にあふれ、惜しみなく消費し、いきいきとしているのを実感し、それゆえに喜びをおぼえる。与えることはもらうよりも喜ばしい。それは剥ぎ取られるからではなく、与えるという行為が自分の生命力の表現だからである。

※P44

【与えることはもらうより喜ばしい】というのが非常に刺さります。こんな考えを土台にできれば、本書の内容は行動できたと言えると思います。

では、愛について何を与えるべきなのでしょうか?

フロムはこう述べています。

自分自身を、自分のいちばん大切なものを、自分の生命を、与えるのだ。これは別に、他人のために自分の生命を犠牲にするという意味ではない。そうではなくて、自分のなかに息づいているものを与えるということである。自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分のなかに息づいているもののあらゆる表現を与えるのだ。

※P46

自分の生命を与えるのです。勘違いしないでほしいのは、相手のための行動ではなく、自分自身の行動に着目するのです。

喜びやユーモア:自分が何事にも楽しんでいる姿を与えることで、相手も楽しくなってしまう。

悲しみについて:仏教である日本は我慢が美徳と考えがありますね。なかなか、自分の悲しみの表現を素直に出すことが下手くそです。でも、実際、悲しみを表現してくれる人は人間味があって、魅力的です。力になってあげようと思えます。だから、自分だって、我慢せず悲しみの表現を出すことは悪いことではないと思えます。

自分自身の素直な愛の感情があって、そこから他者に影響を与えるのです。言ってしまえば、ちょっと相手を意識せずに、わがままでいることですね。

愛を与える要素

POINT

能動的性質:配慮・責任・尊重・知

愛を与えるには基本的な要素があります。

●配慮

愛とは、愛する者の生命と成長を気にかけることです。

例えば、子供に対する母の愛です。食事・洗濯・お風呂など、子供が快適に過ごすために愛を与えることです。配慮のない行動は愛とは言えないです。まずは、相手のことを気にかけることからスタートしましょう。相手が本当に臨んでいるものはなにか?を自問自答して配慮の心を持ちましょう。

●責任

責任は義務のようなイメージはあります。しかしここでの意味は、【自発的な行為】です。責任とは、自分自身に降り掛かってきたものに対しての【私の対応】です。そのため、パートナーの問題はパートナーだけの問題ではありません。自分自身の問題でもあるということに責任を持つことです。

●尊重

相手のありのままの姿をみて、認めることです。仕事も恋愛も減点方式で、嫌なところを見てしまうと、そこだけが目立ってしまい、嫌気を指してしまうこともあります。良いところがたくさんあるのにも関わらず。

尊重で重要なのは、相手が【唯一無二の存在】であることです。

会社なんていくらでもあります。今の仕事を辞めても、すぐ仕事は見つかります。でも、好きな人やパートナーの替えはいません。それは唯一無二であるから。

尊重には、人を利用するという意味はまったくない。私は、愛する人が、私のためにではなく、その人自身のために、その人なりのやり方で、成長していってほしいと願う。誰かを愛するとき、私はその人と一体感を味わうが、あくまでありのままのその人と一体化するのであって、その人を、私の自由になるような一個の対象にするわけではない。

※P51

そうなると、束縛することが、パートナーにとって良くないことがわかりますね。自分の思うどおりに動かすのではなく、相手を唯一無二の存在として尊重しましょう。

●知

人を尊重するには、相手を知らなければなりません。関心が無ければ、愛は育めません。

愛の一側面としての知は、表面的なものではなく、核心にまで届くものである。自分自身にたいする関心を超越して、相手の立場にたってその人を見ることができたときにはじめて、 その人を知ることができる。

※P52

相手の立場に立つことで、なぜ怒っているのかを理解することができるようになります。そもそも、相手のことを知っていれば、怒らせるようなことになる可能性も低くなります。相手への関心は常に持つことで愛は成長していきます。

その人のことだけではなく、男女の違いや血液型の特性など広い範囲で知ることもおすすめします。

もし、O型男性に好意を持ったとしましょう。すごく積極的に好意を示してくれるのに、デートのプランはざっくりで行き当たりばったり。女性としてはもっと計画的にデートをしたいと思ってしまう人もいると思います。もし、ここでO型の特性である「おおざっぱ」であることを理解できていれば、少しは相手の行動を尊重できると思います。

知は、相手への尊重と配慮です。知は特に習慣づけしたいスキルだと感じます。

自分を愛する

POINT

心の穴を他人で埋めない

他人を愛するためには、自分を愛することから始めましょう。自己受容感を高めることが大切です。

聖書に表現されている「汝のごとく汝の隣人を愛せ」という考え方の裏にあるのは、自分自身の個性を尊重し、自分自身を愛し、理解することは、他人を尊重し、愛し、理解することとは切り離せないという考えである。

※P94

愛を与える要素は能動的要素(配慮・責任・尊重・知)が伴います。自分の心がぽっかり開いている状態で相手に愛を与えても、その心の穴を相手の愛で埋めようとします。愛が返ってこなければ、穴が空いた状態になり、『私はこんなに行動したのに!』と怒りを覚えます。だからこそ、まず、自分自身の心を満たすようにしましょう。

自分を愛するためには、自己受容感を高めるのですが、習慣的にポジティブなるようにしましょう。

物事の捉え方をポジティブに捉える努力をしましょう。

「考え方」についてよく表されるのは「コップの水理論」。

コップの中に水が半分入っているという事実があるとします。

  • Aさんは「半分しか入っていない!少ないよ!」と不満を言う。
  • Bさんは「残りがまだ半分もある!ラッキー!」と喜んで言う。

コップの中に水が入っていると言う事実はAさんもBさんも変わらないのに、物事の捉え方は人それぞれ。Bさんの考え方のほうが、ポジティブであるので、考え方としてはとても良い考えだと思います。このように、事実に対しての考え方を良い方向に変えることで、人生は有意義なものになります。

  • 笑顔を心がけましょう!
  • なるべく外に出ましょう!

愛の対象はすべての人・物

POINT

全てを愛する態度・性格

愛は自分が好きな人だけに送るものではない。それは、自己中心主義だと言う。

一人の人をほんとうに愛するとは、すべての人を愛することであり、世界を愛し、生命を愛することである。

※P76

全てを愛する努力をすることですね。そんな無茶な!と思ってしまいます。でも、愛する技術を磨くためには良い行動だと思えます。

私自身も仕事・プライベートでは、相手への興味関心を抱くようにしています。そうなると、人と会う努力をし始めます。そして、相手への興味関心のもと、相手を知ろうとします。『そんな考えがあるんだ〜』と相手の価値観が学べたり、『こういう性格の人にはこういう接し方が良いな〜』と人間関係を円滑にする方法を学べます。この愛する努力によって、実りある成果を得ることができます。

重要なことは、全てを愛する態度・性格であるのです。

まとめ(感想)

恋は実るか実らないかではなく、自分に素直になれるかなれないか、行動できるかできないかである。

『あのとき想いを伝えればよかった』とならないために。

愛されるではなく、愛すること。

恋してるなら『恋してる』と失敗なんて考えずに幸せを感じること。

今、相手はどう思うか分からないことが不安だとしても、自分の目の前に、好きな人が存在する自体、素敵なことです。

人を好きになり愛そうと努力をする自分が存在するだけで、人生は華やかになります。

相手からの愛を受けたいと強く思って、恋に受け身になりますか?

もしかしたら、あなたがもっと愛する行動を起こせば、実ったかも知れません。

どちらかが心を閉ざそうとするだけで、どちらか一方にその気持ちに気づいて心を閉じます。自分の箱に隠れないようにしましょう。相手も自分の箱に入りますから。素直になれない自分に情けなさを覚えてしまいます。

マンガや映画・ドラマの偶像崇拝的な愛を求めるのは辞めましょう。愛する人はそんなロマンチックにはできないこともあります。そんな波乱万丈で最後はハッピーエンドになるような恋はほんの僅かです。マンガや映画・ドラマで見た憧れが身代わりの愛として育てないようにしましょう。

愛は技術です。技術は知識と活動で身につきます。愛は衝動的であることは事実です。知らぬ間に好きになって、心が落ち着かないことはたくさんあります。それを衝動的だ!ということで収めずに、まずは自分が自分を愛しているか・そして相手を愛することができるかどうかを考えてほしいと思います。「愛はコントロールできない」と感情と解釈せずに、愛もコントロールできることを頭に入れていただければ幸いです、

愛は教養です!学び、育てていくのです!

合わせて読みたい本

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました