恋愛は、楽しいときもあるけど、悩むことも多いのではないかと思う。
『なんで、彼(彼女)は全然尽くしてくれないの?』って。
【愛される方法】という本は多く出版されている。SNSも彼(彼女)を沼らせる方法とか告白させる方法など、好かれようとするマニュアルが多く存在する。
ただ、本書を読むと、【愛される方法】を必死になって学ぶことは、もしかしたら間違っているのでは?と根本を覆される。
勘違いしてほしくないのが、【愛される】ということは相手を変える行為。しかし、相手はそう簡単に変わることはできない。付き合ったあとも同じで、パートナーとて一人の人間である。自分の思い通りにいかないことは多くある。そのことに対して、日々怒りを募らせて、一人で不機嫌になる。この怒りをどうしていいか分からず、友人にパートナーの愚痴を言う。聞いている友人もそんな話を聞くために、カフェや居酒屋で過ごしたいわけではない。
本書『愛とためらいの哲学』を読んで、愛について改めて考える機会になった。
本書の結論は、【愛される技術】を学ぶのではなく【愛する技術】を学ぶこと。愛し方について、自身の根本を解決していくことです。
古典の哲学者 アルフレッド・アドラーやエーリッヒ・フロムなどを参考にした、岸見一郎さんの『愛とためらいの哲学』。久しぶりに感動した本であった。ぜひ、手にとってほしい本であります。
さぁ、要約してくヤー!
書籍情報
書籍名:愛とためらいの哲学
著者名:岸見 一郎
出版社: PHP研究所
出版日: 2018/2/15
目次
はじめに
第1章 なぜあなたの「恋愛」は幸せをもたらさないのか
第2章 結婚と子育ての困難について
第3章 人を愛するとはどういうことなのか
第4章 幸福になるための「愛する技術」
おわりに
著書紹介
1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。
要約・書評
愛は技術
エーリッヒ・ヒロムは、大切なのは相手を見つけることではなく、相手を「愛する能力である」と言ってます。
人を愛することが難しいと思ってしまう理由は、「嫌われたらどうしよう…。」「フラれたらどうしよう…。」と恐怖を抱いてしまうこと。アメリカの哲学者 ラルフ・ワルド・エマソンの名言 『恐怖はつねに無知から生じる』は、知らないことは恐怖に繋がると述べています。恋愛も同様です。いくらか人の愛し方を学べば、その恐怖は和らぐと思います。
まずは、心に留めてほしいことは『誰と出会い、誰を愛するか』ということではなく、『愛する技術を身につけること』です。
運命的な出会いへの幻想
誰もが、運命的な出会いへの幻想を持っています。
『私のもとに素敵な人が現れないかな〜』『マッチングアプリでイケメン(美女)とマッチングしないかな〜』
と思うこと。そういう憧れは愛されようとする行為です。可能性の話で現実味の無い話になります。運命的な出会いを待ち焦がれ、王女様・王子様の憧れを持ちすぎないようにしなければなりません。
実は…気づいていないだけで、運命的な出会いはしてることも多いです(気づかないフリかもしれません。)
身近にいるちょっと好意を抱いている同僚・友人はいませんか?
関係が崩れることを恐れて、その恋心を放置していませんか?
その恋心も立派な恋です。
一般的な出会いやマッチングアプリでマッチした素敵と思った人に対して、あえてちょっとサバサバ系を演じて、相手が私にどれぐらい好意を抱いているかを試す行為。自分から話を広げないで、面白くないと判断して連絡が途絶えたことはありませんか?
意外に相手は気づくもので、こちら側が会話をする気がなければ、相手も適当になります。せっかく仲良くなれるチャンスを「愛されようとする技術」のせいで台無しになってしまいます。
全ては、自分が行動して失敗したくないからです。自分に自信がないからです。非常にもったいない行為です。自分が愛する技術をもっていれば、そんな事にならなかったかもしれません。
愛への弊害
自信が無い人は、人から愛されたいと思う。なぜなら、自己肯定が低い分、誰かに認められることで、自分の心の穴を埋めようとしているからです。
自信が無い人の特徴があります。
・好きでもない人を好きになってしまった。
その理由は下記です。
自分に自信が無い
↓
恋愛において「好かれない」と思ってしまう
↓
好きな人がいても自分の思いを伝えない
↓
自分について低い評価をつける
↓
成功する恋愛のみに時間を費やす
↓
好いてくれる人と付き合う
自信が無いことで、恋愛も悲観的になり、受動的な恋愛をするようになります。好かれている人からの恋愛は失敗する可能性は少ないですからね。
恋愛が成就することは非常に素敵ですが、願わくば自分が好きになって人と繋がりたいと思うものです。だから、自信を持つ方法を身に付けなければなりません。
反対に、自己肯定感が高い人は、他人にどう思われるか気にしすぎず、人生を自由かつ有意義に過ごします。
愛への強制
「私がこれぐらい尽くしたのにあなたはなぜ同等に愛してくれない!私は100%の愛を注いでるのだから、あなたも100%の愛を注ぐべき!」
これは『愛への強制』になります。愛は取引ではありません。
先程のマッチングアプリで【相手を試す行為】としてもあげましたが、相手に認められようと意識している行為は、万が一、相手に認められていないと思うと手のひら返しをしてLINEを返さないとかブロックしてしまうのです。恋が相手への所有になってしまっているのです。その結果、自分の価値のなさを実感してしまうのです。さらに自信が無くなっていくのです。
相手が自分を愛するかどうかは相手が決めることです。自分が決めることはできないのです。しかし、自分が愛することはできるのです。これが『愛する技術』に繋がります。
相手への嫉妬
自信が無い人は嫉妬をします。相手の自由を奪い所有しようとします。自信がないと相手から愛を注がれたいと思い、心の穴を相手で埋めようとします。埋まらないと感じるから、嫉妬に繋がるのです。あとは、自分に自信がないから、パートナーが異性と話していることで奪われると思ってしまうのです。
愛する技術の習得
人は自由!!他人に好かれようとする人は自由ではありません。相手が好んでくれる人生を歩んでいます。好きな趣味を持って、好きなファッションをして自由に行きましょう。
他人に好かれるためにつける香水か自分が嗅いでいて好きな香水のどちらを選ぶか。それは、自分が嗅いでいて好きな香水を選ぶべきです。自分の幸せのために好きな物を選ぶのが個性に繋がります。本来に自分がなりたい姿になれば、それだけで幸せなのです。
●自分を表現をする
喜び・興味・理解・ユーモア・を相手の前で表現するのです。もっと、無償の愛を表現してみることです。感情の表現は自分の生命です。その生命を表現することで、他人を豊かにします。大人が子供に心を開くのは、常に素直で表情が豊かだからです。そんな無償の愛を持つ人は、相手を惹きつけます。
『あなたを愛しているから、あなたが必要だ』。そんな思いで、自分自身も相手の生命感を高めてあげるのです。
●全身全霊をかけて現在を生きる
今この瞬間に集中して生きることです。そのために自分以外にも集中することです。慣れ親しんだ人に対しても初めて会うのだという気持ちで接することです。メッセージも同様です。相手は自分に興味があるので、やりとりをするのです。だから、それに対して、今この瞬間を大切にして接することです。だから、どう会話すればよいか考えるようになります。それは、コミュニケーションとしても成長に繋がります。自分の成長に繋がりますし、相手はその行為に答えてくれます。その結果、自信に繋がります。
まとめ(感想)
自分を受け入れることからスタートしてみましょう。そしてそれは自信に繋がり、愛する技術に繋がります。愛する技術は、自分への幸福になって、自然と相手への幸福に繋がります。
「愛されたい」ではなく「愛したい」という考えを持ち、愛する技術を身につけることが大切です。まずは、個性を重視したり、今この瞬間に集中したりして、自分に自信を持ちことから始めよう。その結果が、自分がしたい恋愛をするようになり、恋愛に振り回されることも少なくなり、素敵な恋愛ができるようになります。
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